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カウラは忘れない
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あらすじ
第二次世界大戦中、カウラにあった収容所では、捕虜による自治がある程度認められており、形式的には民主的な秩序が成立していた。重要事項は42の班ごとに話し合い、班長会議で決定していた。ジュネーブ条約にのっとって捕虜には食事や医療が充分に与えられ、野球や麻雀などの娯楽も許されており、安穏な日々を過ごしていた。そんな中でも、日本人捕虜たちの頭から絶えず離れない戦陣訓の一節があった。「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪過の汚名を残すこと勿れ」。人数が増えすぎた日本人捕虜の分離・移動命令をきっかけに、この機会をとらえて決起すべきだと一部の強硬派が主張する。逃げ切れる望みのない絶望的な集団脱走を決行するか否か、全員による投票が提案された。日本人捕虜一人ひとりは「生」か「死」か判断を突きつけられる。 そして、1944年8月5日未明、 静寂を破るかのように突撃ラッパが収容所に響き渡る―。